2025.12.09全般
2025年10月25日から11月16日にかけて、香川県綾川町を舞台に「第6回 かがわ・山なみ芸術祭2025」が開催されました。
瀬戸内国際芸術祭に代表される「海のアート」に対し、香川特有の美しい里山を舞台にした「山のアート」。 今回は、地域おこしの活動報告として、住民の手で作り上げたこの芸術祭の様子と成果をご報告します。
地域住民が「主役」となった1ヶ月間 本芸術祭の最大の特徴は、アートの専門家ではなく、地域住民が中心となって運営されたことです。
「私たちは芸術家ではありません。 地域住民です」 そんな言葉とともに共同代表を務めたのは、地元・綾川町の女性3名でした。
これまではプロの作家主導の側面もありましたが、今回は運営のバトンが完全に地域へと渡されました。 準備段階から設営、そして会期中の運営まで、住民たちが主体的に関わることで、「ただの展示会」ではなく、温かみのある「地域のお祭り」として多くの来場者を迎えることができました。
障がいも垣根も越えた「表現の力」 今回の活動で特筆すべきは、障がいを持つ方々や子どもたちを含む、多様な人々がアーティストとして参加した点です。



「上手・下手」といった既存の物差しではない、純粋な創作エネルギー。 障がいのある方々による作品やジオラマは、見る人の心にダイレクトに響く力強さがありました。 まさに「レベチ(レベル違い)」なアート作品が、会場を彩りました。


地元の「ものづくり学校(モノハウス)」を拠点に、子どもたちも自由な発想で表現に挑戦しました。 自分たちで作った帽子や仮面は、大人には真似できない遊び心に満ちていました。


一枚一枚の手紙が集まり、空間全体がアートになる。 個々の「想い」が可視化された展示は、静かながらも強いメッセージを放っていました。

会場となった綾川町の枌所(そぎしょ)エリアや山田エリアなどでは、豊かな自然そのものがキャンバスとなりました。 おにぎり型の山々を背景に、色彩豊かな屋外アートが出現。 地域オリジナルのグルメも連日完売するなど、アート鑑賞とあわせて里山の魅力を五感で楽しんでいただける機会となりました。

今回のテーマは「つむぐ - このまちが好きだから - 」でした。
過疎化が進む地方において、アートは単なる「鑑賞物」以上の意味を持ちます。 それは人と人をつなぎ、地域に新たな役割と活力を生み出す「装置」でもあります。
専門家任せにするのではなく、教育弱者や障がい者を含む地域のみんなが「表現者」となり、「運営者」となった今回の芸術祭。 ここで生まれた絆と経験を糧に、私たちはこれからも地域に根ざした活動を紡いでいきます。
ご来場いただいた皆様、そして共に作り上げた地域の皆様、本当にありがとうございました。
■ 開催概要(終了いたしました)
名称: 第6回 かがわ・山なみ芸術祭 2025
会期: 2025年10月25日(土) ~ 11月16日(日)
会場: モノハウスとその周辺、山田エリア、西分エリア等
主催: かがわ・山なみ芸術祭 2025 実行委員会